公開日:2025年12月12日 更新日:2025年12月18日
中小企業や個人事業主にとって、取引ルールの変化は資金繰りや経営に直結する重要なテーマです。
近年注目される「改正下請法(取適法)」は、支払いの透明化や下請け保護を強化し、取引環境を大きく変えようとしています。また、2027年3月末には「紙の手形・小切手」が廃止され、電子化や振込への移行が本格化します。
本記事では、元請け・下請け双方の立場からこれらの改正が自社にどう影響するのかを整理し、資金繰り改善に役立つファクタリングのメリットもわかりやすく解説します。
この記事の内容
この記事のポイント
紙の手形廃止と改正下請法の実務対応を整理し、中小企業の資金繰り改善策を解説しています。
- 下請法の改正により支払いサイトが60日以内に短縮されることを解説
- 紙の手形・小切手廃止の背景と電子決済への移行メリットを整理
- 元請け・下請け双方に求められる契約見直しや経理対応を具体化
- ファクタリング活用や資金繰り安定化のポイントをFAQ形式で紹介
- 制度改正をチャンスに変えるための心構えと実務チェックを提示
改正下請法(取適法)とは?取引への影響を整理
改正下請法は、2026年1月から「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行され、従来の下請法よりも適用範囲が拡大し、中小企業の利益保護が強化されます。
主な要件としては、委託事業者による一方的な価格決定の禁止、手形払いの原則禁止、支払い遅延防止などが挙げられます。
これにより、元請け・下請け双方がより透明で公正な取引ルールに基づき、資金繰りや価格転嫁を適切に行える環境が整備されます。
※出典:公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」
下請法改正の目的と背景
改正下請法 (取適法)は、長年の下請け企業の資金繰り難や価格転嫁の不透明さを是正するために検討されてきました。政府は中小企業の取引環境改善を目的に、支払いサイト(取引の締め日から実際に代金が支払われる日までの期間)の短縮や手形払いの禁止を含む制度改正を段階的に進め、2026年1月から「中小受託取引適正化法」として施行されます。
背景には、働き方改革や資金決済の電子化推進など、社会全体の流れも大きく影響しています。
▼法制化までの過程
| 年度 | 主な動き | 内容 |
|---|---|---|
| 2019年 | 働き方改革関連法施行 | 下請け企業の長時間労働是正が課題化 |
| 2020年 | 公正取引委員会による調査強化 | 下請け取引の不当慣行を指摘 |
| 2021年 | 中小企業庁の検討会設置 | 支払いサイト短縮・価格転嫁ルールを議論 |
| 2023年 | 改正案の骨子公表 | 手形払い 禁止 ・電子決済移行を明示 |
| 2024年 | 国会審議・成立 | 「中小受託取引適正化法」として法制化 |
| 2026年 | 施行開始 | 改正下請法(取適法)が全面適用 |
なぜ「取適法」になったのか
改正下請法は、2026年1月から「取適法(とりてきほう)」として施行されます。正式名称は 「中小受託取引適正化法」です。
従来の「下請法」という名称では、対象が下請け企業に限定されている印象が強く、実際の取引実態に合わないとの指摘がありました。そのため、元請け・下請け双方の立場を含めた「受託取引全般の適正化」を目的に、より広い範囲をカバーする法律として「取適法」と改称されました。
元請け企業に求められる対応
改正下請法(取適法)の施行により、元請け企業には従来以上に透明で公正な取引姿勢が求められます。
特に、支払いサイトの短縮や手形払いの禁止など、資金決済に関するルールが厳格化されるため、契約内容や支払い方法の見直しが不可欠です。
さらに、価格転嫁の適正化や下請け企業への説明責任も強化されるため、社内の経理・法務部門と連携した体制整備が重要になります。
以下に具体的な対応の流れを整理しました。
- 契約内容の確認
支払いサイト・決済方法が法令に適合しているかチェック - 支払い方法の見直し
手形払いから振込・電子決済へ移行 - 価格転嫁の適正化
原価上昇分を下請けに適切に反映 - 社内体制の整備
経理・法務部門でガイドラインを共有 - 下請け企業への説明
改正内容と対応方針を明確に伝達
下請け企業にとってのメリットと注意点
改正下請法(取適法)は、下請け企業にとって資金繰りや取引環境の改善につながる一方で、実務上の注意点も存在します。
支払いサイトの短縮や手形払いの禁止により、現金化までの期間が短くなることは大きなメリットですが、契約内容や請求手続きの透明性が求められるため、経理体制の整備が不可欠です。
また、価格転嫁の適正化により原価上昇分を反映しやすくなる一方、元請けとの交渉力や証拠資料の準備が重要になります。
以下にメリットと注意点を整理しました。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 支払いサイト短縮で資金繰り改善 | 契約内容の確認・請求書管理が必須 |
| 手形払い 禁止 で現金化が早まる | 電子決済や振込み対応への準備が必要 |
| 価格転嫁ルール強化で利益確保しやすい | 原価上昇の根拠資料を整備する必要 |
| 取引の透明化で不当な慣行が減少 | 元請けとの交渉力を高める努力が必要 |
このように、メリットを享受するためには、経理や契約管理の体制強化が欠かせません。
ファクタリングに与える影響
※公正取引委員会「下請法改正(取適法)の概要について」
改正下請法(取適法)は、手形払いの禁止に加え「支払期日までに満額を現金化できない支払い手段」を認めないと定めています(新第5条第1項第2号関係)。
このため、電子記録債権やファクタリングを利用する場合でも、下請事業者が割引料や手数料を差し引かれて満額を受け取れないような取引は違法となり、元請け事業者が強制することはできません。
例えば、以下のようなケースは違法となります。
- 元請業者が「現金振込ではなく、提携A社のファクタリングを必ず使え」と指示
- 下請事業者が100万円の売掛金をA社に譲渡 → 手数料5万円差し引かれ95万円受領
- 本来の契約額より減額されるため「下請代金の減額」に該当し違反
なお、重要なのは元請けが「物品等の受領から60日以内の、できる限り短い期間内に代金を支払うこと」です。
元請けが取るべき対応策は、以下の3つと言えるでしょう。
- 【最善策】全額現金(銀行振込)で支払う
- 【次善策】でんさい等の支払期日(満期日)を60日以内にする
- 【例外対応】もし満期が60日を超えるなら、元請けが割引料を負担する
下請事業者が自らの判断で任意のファクタリング会社を選び、資金繰りのために利用する場合は問題なく合法であり、従来通り、手数料を差し引かれた額の現金を受け取ることになります。
紙の手形・小切手廃止とは?取引の変化について
手形には以下の2種類があり、小切手には3種類があります。
| 種類 | 特徴・説明 | |
|---|---|---|
| 手形 | 約束手形 | 振出人が一定期日に支払うことを約束する証書 |
| 為替手形 | 振出人が第三者に支払いを委託する証書 | |
| 小切手 | 普通小切手 | 振出人の口座から即時に支払われる一般的な小切手 |
| 銀行小切手 | 銀行が直接振り出す信用度の高い小切手 | |
| 郵便小切手 | 郵便局を通じて利用される小切手 |
紙の手形・小切手は長年、企業間取引の資金決済手段として利用されてきましたが、2027年3月末をもって全面廃止されることが決定しています。背景には、資金決済の電子化推進や不渡りリスクの軽減、事務コスト削減といった社会的要請があり、現金振込や電子記録債権(でんさい)などへの移行が進んでいます。
本章では、廃止の理由や役割の変化、企業に求められる対応を整理し、資金繰り改善への影響を解説します。
紙の手形・小切手が廃止される背景と理由
紙の手形・小切手の廃止は、資金決済の電子化推進や不渡りリスクの軽減、事務コスト削減を目的として進められてきました。
従来は企業間取引の信用補完手段として広く利用されていましたが、近年は振込や電子記録債権(でんさい)の普及により役割が縮小。さらに、手形の長期サイトが資金繰りを圧迫する要因となっていたことから、政府・金融機関が段階的に廃止を決定しました。最終的に2027年3月末で全面廃止となり、企業は電子化や振込への移行を迫られることになります。
紙の手形・小切手廃止までの過程は、以下の通りです。
| 年度 | 主な動き | 内容 |
|---|---|---|
| 2019年 | 金融庁・経産省が検討開始 | 手形・小切手の利用実態調査 |
| 2020年 | 電子記録債権の普及促進 | でんさい利用拡大の政策支援 |
| 2022年 | 廃止方針の公表 | 紙の手形・小切手を段階的に縮小 |
| 2024年 | 移行準備の強化 | 振込・電子決済への移行支援策 |
| 2027年 | 完全廃止 | 紙の手形・小切手の利用終了 |
※でんさいについて詳しくは、「【建設業の資金調達】でんさいとファクタリングの違いとは?下請け・元請けの選択肢についても解説!」「【建設業の資金調達】紙の手形・小切手廃止は「でんさい+一括ファクタリング」で乗り切る!」もご参照ください。
手形・小切手の役割と課題
手形・小切手は、明治期以降の商取引で「信用を裏付ける支払い手段」として広く普及しました。資金不足の企業でも将来の支払いを約束できる仕組みとして、長らく日本の商慣習を支えてきました。
しかし、不渡りによる連鎖倒産や長期サイトによる資金繰り悪化などの課題が顕在化。こうした問題を解消するため、電子記録債権(でんさい)が導入され、迅速かつ安全に資金を移動できる仕組みへと移行しました。「信用補完」から「電子化による効率化」へと役割が引き継がれています。
電子化・振込への移行で変わる資金決済
紙の手形・小切手の廃止に伴い、資金決済は振込や電子記録債権(でんさい)へと移行します。これにより、従来のように長期サイトで資金化を待つ必要がなくなり、資金繰りの効率化が期待されます。
また、不渡りリスクの軽減や事務処理の簡素化、透明性の向上といったメリットも生まれます。一方で、電子化に対応するためのシステム整備や経理フローの見直しが求められる点には注意が必要です。
以下に具体的な変化を整理しました。
| 項目 | 従来(紙の手形・小切手) | 今後(電子化・振込) |
|---|---|---|
| 資金化までの期間 | 長期サイトで数ヶ月待ち | 振込・でんさいで即時または短期 |
| リスク | 不渡りによる連鎖倒産の懸念 | 不渡りリスクが大幅軽減 |
| 事務処理 | 発行・管理に手間とコスト | 電子化で効率化・省力化 |
| 透明性 | 曖昧な慣習に依存 | 電子記録で履歴が明確化 |
元請け・下請け双方に求められる実務対応
紙の手形・小切手廃止に伴い、資金決済の電子化や振込への移行が進む中で、元請け・下請け双方には具体的な実務対応が求められます。
元請け企業は、支払い方法の見直しや契約条件の適正化を行い、下請け企業に不利益を与えない体制を整える必要があります。
一方、下請け企業は、電子決済や振込に対応できる経理フローを整備し、資金繰り改善のための準備を進めることが重要です。
双方が適切に対応することで、取引の透明性と資金繰りの安定が確保され、安心して取引を継続できる環境が整います。
| 元請け企業 | 下請け企業 |
|---|---|
| ・支払い方法を振込 ・電子記録債権へ移行 ・契約条件の見直しと法令遵守 ・下請けへの説明責任を果たす |
・電子決済に対応した経理体制の整備 ・資金繰り計画の見直し ・契約内容の確認と交渉準備 |
資金繰り改善にどうつながるか
※出典:「2025年版 中小企業白書(HTML版) 第1部 令和6年度(2024 年度)の中小企業の動向 第1章 中小企業・小規模事業者の動向 第8節 開業、倒産・休廃業」
令和6年(2024年)の企業倒産件数は、11年ぶりに年間1万件を超え、物価高や人手不足、そして実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済開始に伴う資金繰り悪化が主な要因となっています。
こうした状況下で、紙の手形・小切手の廃止や改正下請法による支払いサイト短縮は、中小企業の資金繰り改善に直結します。従来の長期サイトや不渡りリスクに依存せず、振込や電子記録債権による迅速な資金化が可能となるため、資金の流れが安定化しやすくなります。
また、ファクタリング手数料の不当な負担が禁止されることで、下請け企業は契約通りの満額を確実に受け取れる環境が整備されます。
これらの制度改正は、資金繰り不安を軽減し、倒産リスクを抑える有効な仕組みとして期待されています。
中小企業・個人事業主が押さえるべきポイント
下請法改正や紙の手形廃止は、中小企業や個人事業主の取引環境を大きく変える制度改正です。資金繰りの安定化や取引の透明性向上につながる一方で、契約内容の見直しや経理フローの整備など、事前準備が欠かせません。
また、ファクタリングの活用方法や支払い条件の確認など、経営判断に直結するポイントも多く含まれています。
本章では、契約・資金繰り・経理実務・心構えの4つの観点から、企業が押さえておくべき基礎知識を整理します。
取引契約の見直しと準備
下請法改正や紙の手形廃止に対応するためには、取引契約の見直しと準備が不可欠です。従来の契約書には「手形払い」や「長期サイト」など、現行制度では認められない条件が含まれている場合があり、早急な修正が必要となります。
また、支払い方法の電子化や価格転嫁ルールの適正化に合わせて、契約条項を整理し、双方が納得できる形で明文化することが重要です。さらに、経理・法務部門と連携し、実務フローを再構築することで、トラブル防止と資金繰りの安定化につながります。
契約見直しと準備の基本的な流れは、以下となります。
- 現行契約の確認
支払い方法・サイト・価格転嫁条項をチェック - 不適合条件の修正
手形払い削除、60日以内支払いへ変更 - 電子決済への移行準備
振込・でんさい対応を契約に明記 - 社内体制整備
経理・法務部門で新ルールを共有 - 取引先への説明・合意
改正内容を伝え、契約更新を実施
資金繰り対策としてのファクタリング活用
下請法改正や紙の手形廃止により、資金繰り環境は改善されつつありますが、突発的な資金需要に備える手段としてファクタリングの活用は依然有効です。ファクタリングは売掛債権を早期に現金化できる仕組みで、銀行融資に依存することなく柔軟な資金調達方法として活用できます。
さらに、改正法では、下請事業者に手数料負担を強制する取引が禁止され、満額受け取れる環境が整備されたため、安心して利用できるようになりました。
ファクタリング活用のポイントを、以下に整理します。
- 売掛債権を早期に資金化し、突発的な支払いに対応
- 銀行融資に頼らず、柔軟な資金調達が可能
- 改正法により手数料負担の強制が禁止され、下請け企業の不利益を防止
- 支払いサイト短縮と併用することで、資金繰りの安定性がさらに向上
経理担当者がチェックすべき実務フロー
下請法改正や紙の手形廃止に伴い、経理担当者には従来以上に正確で効率的な実務対応が求められます。特に、支払いサイトの短縮や電子決済への移行により、契約内容や請求書処理の確認が重要になります。
さらに、ファクタリング利用時の手数料負担禁止など新ルールを踏まえ、支払い方法や資金繰り計画を適切に管理する必要があります。
経理担当者がチェックすべき流れをフローチャートで整理すると、業務の抜け漏れ防止につながり、安心して取引を継続できる体制を構築できます。
- 契約内容確認
支払い条件・サイトが法令に適合しているかチェック - 請求書受領・確認
金額・期日・電子決済対応の有無を確認 - 支払い方法選定
振込・電子記録債権(でんさい)を優先 - 資金繰り計画調整
支払期日までの資金確保を確認 - ファクタリング利用判断
必要時は手数料負担がない形で活用 - 支払い実行・記録
決済完了後、会計システムに反映
安心して取引を続けるための心構え
制度改正や紙の手形廃止により、取引環境は大きく変化しています。中小企業や個人事業主が安心して取引を続けるためには、単に制度に対応するだけでなく、日常の心構えが重要です。
契約条件や支払い方法の確認を怠らず、資金繰りに余裕を持たせることで、突発的な変化にも柔軟に対応できます。また、取引先との信頼関係を維持し、法令遵守を徹底する姿勢が、長期的な安定につながります。
以下のチェックポイントを意識することで、安心して取引を継続できる体制を整えられます。
契約内容を定期的に確認し、改正法に適合させる
-
支払い方法や期日を明確にし、記録を残す
資金繰り計画を常に見直し、余裕を持たせる
取引先とのコミュニケーションを密にし、信頼を維持する
法令遵守を徹底し、トラブルを未然に防ぐ
- 2026年1月施行の改正下請法 → 中小企業との下請取引など一定範囲で「手形払い禁止」
- 2027年3月末の紙の手形廃止 → 金融制度全体として「すべての紙の手形払いが終了」
- 公正取引委員会(JFTC)
◎フリーダイヤル:0120-060-110(平日10:00〜17:00)
◎詳細は公正取引委員会公式サイト を参照。 - 中小企業庁「下請かけこみ寺」(2026年以降は「取引かけこみ寺」に名称変更予定)
◎全国47都道府県に設置されており、弁護士や専門相談員が無料で相談対応。
◎詳細は適正取引支援サイト を参照。
下請法改正と紙の手形廃止についてよくあるご質問
下請法改正と紙の手形廃止に関して、多く寄せられる代表的な質問とその回答をまとめました。
Q.1 改正下請法で支払いサイトはどう変わりますか?
A.1 改正下請法では、支払いサイトが従来より厳格に制限され、成果物納入から60日以内に代金を支払うことが義務付けられました。これにより、下請け企業は資金化までの待機期間が短縮され、資金繰りの安定化につながります。
Q.2 紙の手形がなくなると資金繰りは不利になりますか?
A.2 紙の手形廃止は資金繰りを不利にするものではありません。むしろ、支払いサイトが60日以内に短縮され、振込や電子記録債権で迅速に資金化できるため、資金繰りの安定化につながります。
Q.3 ファクタリングは今後さらに利用しやすくなりますか?
A.3 下請法改正により、下請事業者がファクタリング手数料を強制的に負担させられる取引は違法となり、満額を受け取れる環境が整備されました。支払いサイトの短縮と併せて、資金繰りの安定化が進むため、ファクタリングは今後さらに安心して利用しやすくなるといえます。
Q.4 2026年1月の「手形払い禁止」と2026年度末の「紙の手形廃止」はどう違うのですか?
A.42026年1月から施行される改正下請法(中小受託取引適正化法)による手形払いの禁止は、下請取引の公正化を目的とした法律改正であり、対象は中小企業との取引など一定の範囲に限られています。つまり、すべての商取引に一律で適用されるものではなく、まずは「下請法の適用対象取引」に限定して手形払いが禁止されます。
一方で、全国銀行協会などが進める「紙の手形払い廃止」計画は、金融インフラ全体の見直しに関わるもので、2026年度末(2027年3月末)までに全国の手形交換所での紙の手形の取り扱いをゼロにすることを目標としています。こちらは業種や企業規模を問わず、すべての取引における紙の手形払いが廃止されることになります。
要するに、
という2段階の流れになっているため、施行時期や対象範囲に違いがあるのです。
Q.5 万が一、下請け側が「取適法違反ではないか」と感じる取引があった場合、どこへ相談したら良いですか?
A.5 取適法(改正下請法)違反の疑いがあると感じた場合は、まず「公正取引委員会」や「中小企業庁の相談窓口(下請かけこみ寺)」へ相談・申告することができます。また、地域の商工会議所・商工会に相談すれば、公正取引委員会へ迅速に取り次がれます。
まとめ:紙の手形廃止による取引ルールの変化をチャンスに変える!
紙の手形廃止と改正下請法(取引適正化法)は、従来の商慣習を大きく変える制度改正です。長期サイトや不渡りリスクに圧迫されていた取引から、振込や電子記録債権(でんさい)による迅速で透明な資金決済へと移行することで、中小企業や個人事業主の資金繰りは安定しやすくなります。
さらに、改正下請法では支払いサイトの60日以内制限やファクタリング手数料の不当負担禁止など、取引の公正性を高める仕組みが整備されました。これらの変化は単なる規制強化ではなく、企業が資金繰り改善や経営効率化を進めるチャンスでもあります。
制度を正しく理解し、契約や経理フローを見直すことで、安心して持続的な取引関係を築くことが可能になります。
一括ファクタリング

