公開日:2025年05月09日 更新日:2025年05月09日

地方銀行のシステム統合が進む中、地域企業への融資窓口が縮小する「金融ブラックホール化」現象が顕在化。民間金融機関では、中小企業や個人事業主に対する貸し渋り傾向が強まっています。
このまま、銀行融資を頼みの綱として良いのか。それとも、近頃注目のファクタリングに乗り換えるべきか。迷った時の指針となるよう、メリット・デメリットも含め、両者の違いをわかりやすく解説します。
目次
ファクタリングと銀行融資の基本的な違い

ファクタリングと銀行融資の基本的な違いを端的に表現すると、「ファクタリングは売掛金(売掛債権)を売却して現金化する方法、銀行融資はお金を借りて資金を調達する方法」となります。
では、その根本的な違いを、もう少し詳しく説明いたしましょう。
ファクタリングとは何か?仕組みと主な特徴
ファクタリングは、企業や個人事業主が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた現金を早期に受け取る資金調達方法です。売掛金の入金を待たずに資金化でき、主に資金繰り改善や急な資金需要に活用されます。
また、主な契約形態として、利用者とファクタリング会社のみで取引を行う「2社間ファクタリング」、利用者・ファクタリング会社・売掛先の三者で契約する「3社間ファクタリング」があります。
▼ファクタリングの仕組み
売掛債権をファクタリング会社に売却(譲渡)
ファクタリング会社が審査し、手数料を差し引いた現金を支払う
(2社間)
売掛金の支払期日が来たら売掛先から回収した資金をファクタリング会社に送金
(3社間)
売掛先が直接ファクタリング会社に支払う
そもそも、銀行融資とは?出資やローンとの違い
銀行融資とは、銀行などの金融機関が企業や個人に対して一定期間お金を貸し出し、元本と利息を返済してもらう資金調達方法です。融資を受けた側は、契約に基づき毎月または一定期間ごとに元本と利息を返済する義務があります。
返済不要の資金調達方法として「出資」がありますが、出資者に配当や株式譲渡益を支払う必要があり、経営権の一部を譲渡することがあります。
▼「銀行融資」と「出資」との違い
銀行融資 | 出資 | |
---|---|---|
資金提供者 | 銀行・金融機関 | 投資家・ベンチャーキャピタル等 |
返済義務 | あり(元本+利息) | なし(原則返済不要) |
リターン | 利息の受け取り | 配当や株式の値上がり益 |
経営権 | 影響なし(経営権は渡さない) | 出資比率に応じ経営権が発生 |
財務上の扱い | 負債(バランスシート上の借入) | 自己資本(資本金等) |
また、混同されやすい資金調達方法として「ビジネスローン」がありますが、銀行融資に比べて審査が早く、無担保・無保証人で利用しやすい反面、金利が高く、融資額も小さい傾向です。
▼「銀行融資」と「ビジネスローン」との違い
銀行融資 | ビジネスローン | |
---|---|---|
金利 | 低い(1~4%が一般的) | 高め |
融資額 | 高額(数千万円~数億円も可能) | 少額(数百万円~1千万円程度が上限) |
審査 | 厳しい・時間がかかる(1~2ヶ月) | 緩やか・早い(最短即日~1週間程度) |
担保・保証人 | 必要な場合が多い | 原則不要 |
使途 | 事業資金が中心だが、他の用途もあり | 事業資金に限定 |
総量規制 | 対象外 | 対象外 |
ファクタリング・融資それぞれの資金化の流れと必要書類
ファクタリングは最短即日〜1週間程度で資金化が可能なのに対して、銀行融資は審査が厳しく、資金化まで1〜3ヶ月程度かかることが一般的です。そのため、ファクタリングは緊急に資金調達したい場合に適しており、また融資の審査が下りない場合、ファクタリングの利用がおすすめです。
▼「ファクタリング」と「銀行融資」の流れと必要書類
ファクタリング | 銀行融資 | |
---|---|---|
資金化の流れ | 申込→審査(売掛先の信用調査)→契約→資金受取 | 金融機関へ申込→審査(事業者の信用調査)→契約→融資実行 |
必要書類 |
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ファクタリングと銀行融資の比較一覧表
ファクタリングと銀行融資の主な違いを一覧表で比較してみました。
▼「ファクタリング」と「銀行融資」の主な違い
ファクタリング | 銀行融資 | |
---|---|---|
資金調達方法 | 売掛債権の売却による現金化 | 金融機関からの借入(ローン契約) |
資金調達 スピード |
即日~3日程度と非常に早い | 1週間~数ヶ月 (一般的には1~3ヶ月) |
資金調達 コスト |
手数料:1~20% (2社間は高め、3社間は低め) |
金利:2~6%程度 (ビジネスローンは2~15%) 保証料がかかる場合もあり |
調達できる 金額 |
売掛金の金額が上限 | 信用力や財務状況により上限なし (数百万円~数億円まで可能) |
負債としての計上 | 負債にならず、資産の勘定科目が変わる(借入金増加なし) | 負債として計上(借入金が増加) |
返済方法 | 基本的に返済義務なし (売掛金入金後に一括支払い) |
分割返済が一般的 (一括返済や残高スライド返済あり) |
担保 | 原則不要 | 必要な場合あり (担保や保証人が必要なことも多い) |
では、それぞれの主な項目の違いについて、さらに詳しく説明いたしましょう。
違い①:資金調達方法
ファクタリングの資金調達方法
- 売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して現金化する方法です。
- 取引先からの入金を待たずに、未回収の売掛債権を第三者に譲渡し、早期に資金を調達します。
- 返済義務はなく、信用情報や負債にも影響しません。
銀行融資の資金調達方法
- 銀行や信用金庫などの金融機関からお金を借りる方法です。
- 借入のため審査があり、返済義務と利息が発生します。
- 融資にはプロパー融資や信用保証協会付き融資など複数の種類があり、長期返済や低金利が特徴です。
違い②:資金調達スピード
ファクタリングは、最短で即日や数時間以内に資金調達が可能です。オンラインで手続きが完結し、必要書類も少なく、審査もスピーディーなため、急ぎの資金ニーズに非常に適しています。
一方、銀行融資は通常、申し込みから入金までに1週間から数週間、場合によっては1ヶ月以上かかることもあります。審査や必要書類の提出といった多くの手続きを経なければいけないためです。
資金調達スピードはファクタリングが圧倒的に早く、そのため、一時的な資金調達が必要な場合や、すぐに資金が必要な場合に適しています。
違い③:資金調達コスト
ファクタリングの資金調達コスト:
- 手数料:ファクタリング会社が売掛債権を買い取る際に発生する手数料が資金調達コストとなります。
- 手数料率:2社間ファクタリング(売掛先に通知しない)の場合、10〜20%と高め、3社間ファクタリング(売掛先に通知する)の場合、1〜5%と安めです。
- 費用:手数料は売掛債権額の割合として計算され、支払うことで売掛金を早期に現金化できます。
銀行融資の資金調達コスト:
- 金利:融資を受ける際に発生する金利が資金調達コストとなります。
- 金利率:金利は企業の信用力や融資期間、担保の有無などによって変動し、一般的にファクタリングよりも低めです。
- 費用:融資額に金利を乗じた額が返済額となり、長期的な計画が立てやすいメリットがあります。
違い④:調達できる金額
ファクタリングと銀行融資の調達できる金額の違いは、主に「上限の決まり方」にあります。
●ファクタリング
達できる金額の上限が「売掛金の金額」によって決まります。売掛債権がある分だけ資金化でき、それ以上は調達できません。●銀行融資
会社の信用力や財務状況などによって「審査で決まる」ため、売上や売掛金に直接連動しません。規模によっては300万円〜3億円程度、場合によってはさらに多額の融資も可能です。ファクタリングは売掛金の範囲内でしか資金調達できませんが、銀行融資は企業の信用力次第でより大きな金額を調達できる可能性があります。銀行融資は低金利で長期的な資金調達が可能なため、事業の拡大や設備投資など、安定的な資金需要がある場合に適しています。
違い⑤:負債としての計上
ファクタリングは、売掛債権を売却して資金化する方法のため、調達した資金は「負債」として計上されません。会計上は「売掛金」が減少し、「普通預金」や「未収入金」などの資産科目に振り替えられ、ファクタリング手数料は「売上債権売却損」や「支払手数料」として費用計上されます。
一方、銀行融資は金融機関からの借入であるため、調達資金は「借入金」として貸借対照表の「負債」に計上されます。返済時には「借入金」が減少し、利息は「支払利息」として費用計上されます。
ファクタリングは、負債として計上されないため、財務諸表における負債が増加することなく、資金調達が可能です。そのため、自己資本比率が改善され、財務の健全化につながります。また、融資枠への影響も少ないため、他の資金調達手段と併用することも可能です。
違い⑥:返済方法
ファクタリングは「売掛金の売却」による資金調達なので、借入ではありません。返済は、売掛先から入金された売掛金をそのままファクタリング会社に一括で支払う(または直接入金される)形で完了します。
返済義務がなく、売掛先の信用力が重視されるため、赤字や債務超過でも利用しやすい反面、分割返済や返済スケジュールの調整はできません。
銀行融資は「借入」なので、借りた元本と利息を毎月または四半期ごとなど、決められたスケジュールに沿って分割返済するのが一般的です。返済期間や返済方法は契約時に選択でき、低金利で計画的な返済が可能です。
ただし、返済が遅れると遅延損害金が発生し、信用情報に傷が付く可能性があります。
ファクタリングは「短期・緊急・小口資金」に強く、銀行融資は「長期・高額・計画的な資金調達」に向いていると覚えておくとよいでしょう。
違い⑦:担保
ファクタリングは売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却して資金を調達する仕組みであり、借入ではないため担保は不要です。売掛先の信用力が重視され、利用者自身の資産を担保に差し出す必要がありません。
そのため、ファクタリングは担保資産がない企業や信用力に課題がある企業に向いています。
銀行融資の担保は、企業が金融機関から資金を借りる際に、返済不能になった場合に備えて差し出す資産のことです。担保を差し出すことで、銀行はリスクを低減させ、より積極的に融資を行うことができます。
そのため、銀行融資を利用する場合は、担保を保有していることが要件となる場合が多いと心得ておきましょう。不動産や有価証券など、価値の高い資産を保有している企業、売掛債権、在庫、機械設備など、資産を活用して資金調達をしたい企業が銀行融資に向いています。
ファクタリングと銀行融資の選び方

ファクタリングと銀行融資、どちらを資金調達方法として選択したら良いか迷う場合は、自社の状況や資金ニーズによって、いつまでに、いくら必要なのか、返済は可能なのかなど、優先順位を決めることが選択の指針となります。
以下の要点を参考にすると判断しやすくなるでしょう。
●資金調達のスピード
急ぎで資金が必要な場合は、審査が早く即日~数日で資金化できるファクタリングが適しています。銀行融資は通常1週間〜数ヶ月かかります。
●審査のポイント
自社の信用力や財務状況に自信がない場合、売掛先の信用力が重視されるファクタリングが有利です。逆に、財務内容や信用度に問題がなければ低金利で高額調達が可能な銀行融資が向いています。
●資金調達コスト
コスト重視なら、一般的に金利が低い銀行融資が有利です。ファクタリングは手数料が高くなる傾向があります。
●調達できる金額
売掛金の範囲内で良いならファクタリング、より多額の資金が必要なら信用力次第で上限がない銀行融資が適しています。
●返済・負債計上
債を増やしたくない場合や返済義務を負いたくない場合は、ファクタリングが適しています。銀行融資は負債計上・返済義務が発生します。
●担保や保証人
担保や保証人を用意できない場合は、原則不要なファクタリングが有利です。
ファクタリングが有利なケース
以下のようなケースの場合は、ファクタリングがおすすめです。
●急な資金需要が発生したとき
例えば、大口の受注や大型プロジェクトを受注し、材料費や外注費の前払いが必要になった場合。銀行融資では間に合わない可能性がありますが、ファクタリングなら最短日で資金化できます。
●赤字や債務超過などで銀行融資の審査が通りにくいとき
売掛先の信用力が重視されるため、自社の財務状況が悪くても利用できます。
●売掛金の入金サイクルが長く、資金繰りが厳しいとき
売掛金を早期現金化して、仕入れや人件費の支払いに充てたい場合など。
●担保や保証人を用意できないとき
ファクタリングは担保・保証人不要で利用可能です。
●取引先の信用リスクを回避したいとき
売掛先が倒産しても、既に現金化していれば未回収リスクを回避できます。
こんな場合はファクタリングの対象外
ファクタリングはすべての業種で活用できます。現金取引だけではなく、クレジットカード払いやQRコード決済などキャッシュレス決済を導入している場合でもファクタリングは可能です。
ただし、ファクタリングは売掛債権(売掛金)の譲渡ですから、譲渡する売掛債権(売掛金)、つまり掛売しないものについてはファクタリングできません。また、以下のような場合はファクタリングの審査に通らず、利用できないことがあります。
- ✕ 売掛先の経営状況が悪い場合(赤字続き、税金滞納、倒産リスクなど)
- ✕ 売掛先が信用力の低い個人事業主やペーパーカンパニーの場合
- ✕ 不良債権や支払期日を過ぎた売掛金、一時的・架空の売掛金の場合
- ✕ 支払期日までの期間が長すぎる売掛金(一般的に60日以上)
- ✕ 3社間ファクタリングで売掛先の承諾が得られない場合
- ✕ 売掛債権の二重譲渡が疑われる場合
- ✕ 取引実績が浅い、または取引実態が不明確な売掛先の場合
- ✕ 必要書類の不備や内容の信ぴょう性が低い場合
ファクタリング・銀行融資に関するリスクと注意点
ファクタリングにしても、銀行融資にしても、資金が動くわけですから、それぞれに覚悟しなければいけないリスクや心しておかなければいけない注意点があります。申し込みをする前に必ずチェックしておきましょう。
ファクタリングのリスク・注意点
- 手数料が高い場合が多く、調達できる資金が目減りする。
- 繰り返し利用すると資金繰りが悪化する恐れがある。
- 売掛先との関係悪化や、「資金繰りが厳しい会社」と見られるリスクがある。
- 契約書に「償還請求権」(売掛先倒産時の弁済義務)が付いている場合は、返済リスクが発生する。
- 債権譲渡禁止特約や契約内容の確認が必要。
- 悪徳業者や違法業者によるトラブルのリスクがあるため、信頼できる会社選びが重要。
銀行融資のリスク・注意点
- 返済義務があり、返済計画が甘いと資金繰り悪化や倒産リスクが高まる。
- 担保や保証人が必要な場合、資産を失うリスクや保証人への負担が発生する。
- 審査に時間がかかり、希望通りの金額やタイミングで資金調達できないことがある。
- 信用情報に影響し、借入過多になると将来の融資が難しくなる。
まとめ:ファクタリングか、銀行融資か、選択肢の判断基準
ファクタリングと銀行融資はどちらも共通点は資金調達手段であることですが、その仕組みと特徴が大きく異なります。ファクタリングは「売掛債権をファクタリング会社に売却し、資金を調達する」もの。そして、銀行融資は「金融機関から資金を借り入れる」ものです。
資金調達の「目的」「緊急性」「自社の信用力」「調達コスト」「調達額」「会計への影響」を総合的に見て、最適な方法を選びましょう。短期の資金繰りや信用力に不安がある場合はファクタリング、長期的な事業投資や低コスト重視の場合は銀行融資が基本的な選択肢となります。
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