2024年01月19日
IT企業が運転資金を調達する方法としては、ファクタリングを利用する、銀行や日本政策金融公庫、商工中金などから融資を受ける、ビジネスローンやシンジゲートローンを利用する、出資やクラウドファンディングで資金を集める、補助金や助成金を申請するなど、さまざまなものが挙げられます。
とりわけ売掛金がある場合やネットショップなどを運営していて集金にクレジットカード決済を導入されているIT企業であればファクタリングがおすすめです。場合によっては融資やローン、出資と比較して有利にかつスピーディーに資金調達ができる可能性もあります。
この記事ではIT企業の経営者の方向けにファクタリングの仕組みやメリット、他の資金調達方法との違いについて解説。最後までお読みいただければファクタリングのことがわかります。
調達可能額の目安 | 経営者の利用 | 新規開業者の利用 | |
---|---|---|---|
ファクタリング | 売掛金の範囲内 | 〇 | ✕ |
日本政策金融公庫の融資 | 制度により異なる | 〇 | 〇 |
銀行融資 | 条件により異なる | 〇 | 〇 |
商工中金の融資 | ~3億円 | 〇 | ✕ |
補助金・助成金 | 制度により異なる | 〇 | 〇 |
ビジネスローン | 1万円~1000万円 | 〇 | △ |
出資を受ける | 交渉により異なる | 〇 | 〇 |
シンジケートローン | 条件により異なる | 〇 | ✕ |
クラウドファンディング | 1円~ | 〇 | 〇 |
目次
【ファクタリングの仕組み】2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
2社間ファクタリングの手数料相場 | 10%~30% |
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3社間ファクタリングの手数料相場 | 1~9% |
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却譲渡して、その対価として債権分の金額から手数料(1~30%)を差し引いた金額を受け取るという資金調達方法です。後日売掛金が入金されたらそれをファクタリング会社が回収します。ファクタリングの仕組みについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
ファクタリングには利用者とファクタリング会社の間で行う2社間ファクタリングと、利用者とファクタリング会社、売掛先(取引先)で行う3社間ファクタリングの2種類があります。両者の違いについてはこちらの記事で詳しくご説明しています。
【重要】クレカの債権は絶対2社間ファクタリング!それ以外は2社間と3社間を選べる
3社間ファクタリングの場合は2社間ファクタリングと比較して手数料が安いというメリットがありますが、ファクタリング会社が売掛先から直接債権を回収するため、ファクタリングを利用していることが取引先にわかってしまう点がデメリットです。2社間ファクタリングなら取引先にファクタリングを利用していることが知られることはありません。ただし、手数料はどうしても高めとなります。
なお、クレジットカード債権の場合は基本的に3社間ファクタリングができません。カード会社では基本的に第三者への債権の譲渡を認めていないからです。行うとすれば2社間ファクタリングのみとなります。
売掛金やクレカ決済があれば使える!IT企業がファクタリングを使う3つのメリット
ファクタリングのメリット |
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売掛金(売掛債権)やクレジットカード債権さえあればファクタリングを利用することが可能です。ここからはファクタリングによる資金調達のメリットについて見ていきましょう。
1.起業直後を含め経営状態に関係なく使える
融資を受ける際には審査を受けなければなりません。そのため、どうしても開業直後のITベンチャー企業、あるいは経営状況が悪化している会社は借り入れができないケースもあります。
ファクタリングを利用する際にも審査はありますが、見られるのは主に売掛先の信用度です。そのため自社が開業したての場合や赤字が続いている場合でも、取引先の経営状態に問題がなければ難なく資金調達できる可能性が高いです。
特にクレジットカード債権を使ってファクタリングする場合、大手企業であるカード会社が倒産するリスクは極めて低いため、非常に有利となります。
融資を断られてしまったという方は、ぜひファクタリングも検討してみましょう。
2.【最短即日】調達スピードが速く入金サイトを大幅に短縮可能
入金までの所要時間 |
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即日(当日)~1週間程度 |
融資を受けるとなると申込み手続きをして、銀行担当者と面談を行ってから審査という流れになるため非常に時間がかかります。審査だけでも1週間以上かかるのが普通で、申込みから入金までとなると数週間~1ヶ月ほどかかってしまうケースもあります。
ファクタリングの場合は申込みから入金まで長くても1週間程度。早ければ申し込んだその日のうちに現金を受け取ることができます。
急なトラブルが発生した場合、給料や外注費、仕入れ代金などの支払日が迫っているといった逼迫した状況でも安心です。
3.負債が増えないので今後の融資に影響がない
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却する行為であるため、借金ではありません。そのため債務を増やすことなく資金調達することができます。
信用情報が傷つかないため、後々銀行に融資を申し込む際にも影響はありません。また、現在債務を抱えている場合は新たに融資を受けるのが難しくなってしまいますが、ファクタリングであればたとえ多重債務状態であっても利用可能です。
ファクタリングのデメリットや注意点
ファクタリングのデメリット |
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以上のようにファクタリングを使った資金調達にはさまざまなメリットがあります。一方で、売掛金債権やクレジットカード債権を売却するため、当然のことながら売掛債権がない場合、自社商材の代金の支払いにクレジットカード決済を導入していない場合は使えません。同様の理由で開業前にファクタリングを利用することも不可能です。
これからIT企業を立ち上げようと考えられている方は、融資やローン、出資などの方法を検討する必要があります。
【比較が大切】お得で安全なファクタリング業者を探すコツと選ぶポイント
なるべく有利な条件で資金調達ができるに越したことはありません。ファクタリングの場合は手数料が安く、かつ申込みから入金までのスピードが早い会社を選ぶことが重要です。適当に申し込んではみたものの、条件が折り合わずに結局利用できないというケースもあり得ます。とはいえ一社一社電話やメールで問い合わせをして比較するのは非常に手間です。
そこで便利なのは一括見積もり・比較ができるサービスです。数多くあるファクタリング会社の中から、ご自身が希望する条件にもっとも合う一社を見つけることができます。
一括ファクタリングでは全国対応・最短即日・業界最安水準という3つの観点から厳選した100社の中から、さらに経営者様の条件に合ったファクタリング会社を見つけることができます。ファクタリングの利用を検討されている方はぜひ一度ご活用ください。
【網羅】IT企業で使える資金調達手段一覧
調達可能額の目安 | 経営者の利用 | 新規開業者の利用 | |
---|---|---|---|
ファクタリング | 売掛金の範囲内 | 〇 | ✕ |
日本政策金融公庫の融資 | 制度により異なる | 〇 | 〇 |
銀行融資 | 条件により異なる | 〇 | 〇 |
商工中金の融資 | ~3億円 | 〇 | ✕ |
補助金・助成金 | 制度により異なる | 〇 | 〇 |
ビジネスローン | 1万円~1000万円 | 〇 | △ |
出資を受ける | 交渉により異なる | 〇 | 〇 |
シンジケートローン | 条件により異なる | 〇 | ✕ |
クラウドファンディング | 1円~ | 〇 | 〇 |
これまでファクタリングによる資金調達方法についてご紹介してきました。ここからはIT企業が利用できる資金調達の方法についてご紹介します。ファクタリングとその他の方法と比較してみて検討してみましょう。
1.ファクタリング
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | ✕ |
ファクタリングとは前述のとおり売掛債権やクレジットカード債権をファクタリング会社に売却する資金調達方法です。起業直後や赤字の状態でも利用できる、最短でその日のうちに現金が受け取れる、負債が増えないといったメリットがあります。一方で売掛債権やクレジットカード債権がないと利用できないという点には注意が必要です。
2.日本政策金融公庫の融資
経営者の利用 | 〇 |
---|---|
新規開業者の利用 | 〇 |
日本政策金融公庫とは中小企業や小規模事業者などを支援する政策金融機関であり、政府が出資しています。銀行など民間の金融機関よりも低い金利で借り入れを受けられる、創業前でも利用できる、返済期間が長い、手続きが簡素であるといった点がメリットです。一方で、繰り上げ返済ができない、審査期間に時間がかかる点には注意が必要となります。
創業前であれば「創業支援」を活用しましょう。融資はもちろん事業計画の作成や創業に関するアドバイスを受けることが可能です。創業後であればご自身に合わせた融資制度を活用しましょう。たとえば新事業の立ち上げであれば「中小企業経営力強化資金」や「新事業活動促進資金」、運転資金が足りない場合は「経営環境変化対応資金」などの制度が活用できます。また、IT企業の場合はパソコンやその周辺機器などの購入の際に使える「IT活用促進資金」も活用できる可能性があります。
3.銀行融資
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | 〇 |
銀行融資とは銀行や信用金庫などの民間金融機関から借り入れをすることで資金を調達する方法です。資金調達の手段としては一般的といえます。日本政策金融公庫よりは金利が高めですが、それでも信販会社や消費者金融と比較すると低金利であること、借入限度額が大きいこと、信頼性が高いことなどがメリットとして挙げられます。一方で手続きや審査に時間がかかる、担保や保証人が必要となる、審査に通らず融資が受けられない可能性がある、延滞や返済不能になった場合は信用情報に傷かつくといった点がデメリットです。
特にこれから創業される方、創業間もない場合は審査に通りづらい傾向がありますが、信用保証協会を利用することで、通過率が高くなります。
4.商工中金の融資
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | ✕ |
商工中金(商工組合中央金庫)は日本政策金融公庫と同じく政策金融機関であり、日本政府と民間団体が共同で出資をしています。民間の金融機関や信販会社と比較すると金利が低い、相談窓口が設けられていて経営や資産運用、新規事業の立ち上げなどさまざまな事柄を相談しやすいなどのメリットがあります。インターネット上で金利が公開されておらず利率を確認するためには窓口に出向かなければならない点と、借り入れを受けるためには商工中金の構成員や組合員にならなければならないといった点がデメリットです。
また、新規開業時には利用できないといった点にも注意が必要です。
5.補助金・助成金
経営者の利用 | 〇 |
---|---|
新規開業者の利用 | 〇 |
助成金や補助金を使って資金を調達するというのも手です。助成金は主に厚生労働省が所管する制度で、雇用促進や職場の環境整備に必要となる資金を調達する際に使えます。補助金は主に経済産業省や都道府県、市区町村が所管し、事業拡大や設備投資のための資金を調達することが可能です。
借り入れではないので返済する必要がない、信用情報にも傷がつかない、創業前でも活用できるのがメリットです。一方で手続きが煩雑であることと入金されるまでの時間が長いこと、条件を満たしていないと利用できないことがデメリットといえます。
利用できる条件や金額は制度によって異なります。まずは厚生労働省や経済産業省、お住まいの自治体のホームページで使えるものがあるかどうか確認してみましょう。
6.ビジネスローン
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | △ |
ビジネスローンとは中小企業や個人事業主を対象に事業資金を融資するローンサービスです。銀行や信用金庫、ノンバンク(信販会社や消費者金融)などが提供しています。
担保や個人の場合は保証が不要である、審査にかかる時間が短い、借り入れたお金の用途が限定されにくいといった点がメリットです。一方で銀行融資と比較すると金利が高い、返済期間が短い、借入限度額が低いといった点がデメリットとなります。
比較的開業間もない会社でも使いやすいですが、金融機関によっては新規開業では利用できない場合もありますので、ご注意ください。
7.出資を受ける
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | 〇 |
株式会社で経営している場合、あるいは起業する場合は、第三者割当増資で出資を受けることも可能です。エンジェル投資家(ベンチャー企業や新興企業に投資する個人)かベンチャーキャピタル(VC。ベンチャー企業への出資を行う投資会社やファンド)から出資を募るのが一般的です。
自社株を買ってもらうので返済が不要で金利の負担がかからないこと、負債が増えないのでバランスシートが良くなるといった点がメリットです。一方で株主となるエンジェル投資家やベンチャーキャピタルが経営に介入する場合があり、経営の自由度が低くなる可能性がある点がデメリットといえます。特に1人の出資者が51%以上株を保有すると、会社の経営権はその出資者に移ることになってしまいます。
8.シンジケートローン
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | ✕ |
シンジケートローンとは複数の金融機関から構成される融資団体から同一条件で資金を借り入れる方法です。まとまった資金を借り入れることができる、金融機関への窓口が一本化できるといった点がメリットです。一方で利用できるのはある程度規模が大きい会社がメインで、新規開業者や中小企業は対象外となってしまうケースが多いのがデメリットといえます。
9.クラウドファンディング
経営者の利用 | 〇 |
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新規開業者の利用 | 〇 |
クラウドファンディングとは一般の人から出資を募って資金を調達する方法です。クラウドファンディングサイトを通じて募集をかけます。特にIT企業や新しい試みを行うベンチャー企業には相性がよく、資金調達方法として徐々に浸透しつつあります。
小口からの出資も可能で一般人に対して広く出資を集められる、サイトに掲載することで自社やプロジェクトの認知度を高めることができる、融資が受けにくい場合でも資金調達ができるといった点がメリットです。一方で出資者に対するリターンを用意しなければならない、会社や事業、プロジェクトに魅力がないと出資が集まりにくいといった点がデメリットといえます。
この記事のまとめ
今回はIT企業の経営者の方向けに、ファクタリングを中心に資金調達の方法をご説明しました。それぞれメリット・デメリットがあるため、それらも加味して資金調達の手段を考えることが非常に重要となってきます。
売掛債権やクレジットカード債権があり、スピーディーに資金調達をしたい、信用情報を傷つけたくないというのであれば、ぜひファクタリングも選択肢に入れて検討してみてください。